中丸 信

専務・醸造責任者中丸 信

酒が苦手な人でも、
「美味しい」酒を

-酒嫌いから、あれ、この酒美味しい。

今だから言えることですが、昔は酒嫌いでした。若い頃に飲み過ぎで体調を崩して以来、日本酒に限らず、酒と名の付くものは全て苦手でした。友人のあいだでも有名で、飲むのを止められていたくらいでした。20年以上前に、一度県外で就職した後地元に戻り、縁あって花泉酒造に勤めるようになった時点でも酒は少し苦手な状態でした。

酒造会社ですから、入社すれば、当然飲み会があります。最初はなんとなく苦手意識を引きずっていたのですが、ある時、「あれ、この酒、美味しい!」と思えた瞬間がありました。「俺でも、美味しい」と。そう思えたことが、自分自身でも大変な驚きでした。はじめて美味しいと感じることの出来た酒が、自分の場合は、花泉の日本酒でした。

-酒が苦手な人でも、「美味しい」と思って頂ける酒を造る

酒造りにおいて大切にしたいと思っているのは、「酒が嫌いな人でも、美味しいと思って頂ける酒」を造ること。言うまでもなく、自分自身がそうだったためです。そして「自分が飲んで、うまいと思える酒」を造ること。美味しいと思えない酒は造りたくないし、自分でも飲みたくない。突き詰めていくとこれが原点です。

-同じ作業の繰り返し。そこが面白い

酒造りは、同じ作業の繰り返しです。ですが、そこが面白い。同じ作業の繰り返しにも関わらず、1つとして、まったく同じ酒、というものは造ることが出来ません。同じ材料を使い、同じ温度経過をたどっても、まったく同じ酒が出来ることは二度とありません。そこが、酒造りの一番の面白さだと思っています。この麹を使ったらどんな酒になるだろう? この温度で持っていったらどんな味になるだろう?と、いろいろ考えを巡らしながら日々蔵に入る。「もち米四段仕込み」を全銘柄で続けている点もそうですが、固定観念にとらわれない酒造りが出来ることは、うちの蔵の強みであり、良さだと思っています。

-旨い酒を造るために、欠かせないもの

納得のいく旨い酒を造るために、欠かせないもの。それはやはりチームワークと、人の和だと思います。花泉で働く誰に聞いても似たような答えが返ってくるかもしれませんが、そのことがまさに、弊社の雰囲気を物語っています。
いつもの顔ぶれが揃うと安心して酒造りが出来ます。逆に、風邪を引いたりして誰か1人でも欠けてしまうとバランスが崩れてしまう気がします。人が変わっても蔵の仕事自体は進めることが出来ますが、どこかが違う。故に、毎日ケガなく楽しく仕事をすることは大事だと考えています。単純なようですが、これは欠かすことが出来ません。
そして、地域の方が育ててくれた米で酒造りが出来ることも、旨い酒へと繋がる大事な要素です。粒が大きくて、酒造りに向いている米は他にもあるかもしれませんが、どこの誰が育ててくれたのか分かる米の価値に、優るものはありません。会津の方、それも良く知っている方々が丹精込めて育てて下さったお米だからこそ、大事に使わせて頂きたいですし、最高の酒に繋げたいと気合いが入ります。

-子どもたちが「入りたい」と思う、花泉でありたい

理想は、子どもたちが自分たちの働いている姿を見て、「あの会社に入りたいな」と素直に思って貰えるような働き方が貫けることです。その和のなかで、自分たちが自信を持って美味しいと思う酒を造り、皆さんにお届けしたいと思っています。

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